交通事故の被害者数の変化と原因について

交通事故は一時期に比べてかなり減ったとは言え、毎年多くの被害者を出す深刻な社会問題であり対策が急がれています。自動車の保有者や若者の運転免許取得者が減少する傾向が話題になりますが、実際には交通事故の被害者数にどのような影響を与えているのでしょうか?交通事故の被害者数の推移やその原因について説明しましょう。

「交通事故で被害者からの連絡がない場合の対処法」

交通事故の被害者数の推移

交通事故は毎年全国で約60万件も起きており、被害者数は70万人以上にのぼります。被害者のうち重傷者は4万人ほどで、事故後一定期間を過ぎてから交通事故の負傷が原因で死亡したり深刻な後遺障害に苦しんだりしている人も少なくありません。

事故後24時間以内に死亡した人は交通事故の死者数に数えられ、毎年4千人ほどになると言われています。しかしながら、事故後24時間は生存していてもその後30日以内に亡くなった人はその何倍もいて、こうした犠牲者を交通事故の死者として数に入れないことについて批判のあることも事実です。

それでも、交通事故の被害者数は一時期を除き、緩やかな減少傾向にあると言えるでしょう。

交通事故の被害者が減った原因

交通事故の被害者が減った原因としては、人口の減少も挙げられますが、それ以上に直接的な原因と考えられるものが幾つかあります。

元を辿れば、交通事故の死者数が1万6千人を超え「交通戦争」と言われたほど被害者数の多かった1970年代は、ドライバーがシートベルトを着用せず自動車の安全装置も不完全な時代でした。参考資料⇒交通事故弁護士相談

その後、シートベルト着用の義務付けが徹底されるようになり、運転者のみならず助手席や後部座席の同乗者についてもシートベルトの着用が常識となって、交通事故における死傷者数の軽減に資することになったのです。自動車の安全装置についても、ABSの導入や衝撃に強いボディの堅牢化を始め、歩行者を傷付けないバンパーの採用など工夫がなされてきました。

さらに、バックカメラや接近警報など運転者が直接視認できない危険についてもハイテクのサポートが可能になり、事故を未然に防ぐことができるようになったのです。そして、自動ブレーキの開発普及など革新的なシステムが自動車の事故を減らす要因となりました。

事故を起こしやすいと言われる10代の運転免許取得者が減ったことも、1つの要因だと考えられています。10代後半から20代前半の若者の関心が自動車から離れ、インターネットに向いたからだとも言われています。同様に、若者の自動車の保有台数が減少したことも影響しているかもしれません。

交通事故の被害者が多い地域

交通事故の被害者数が多い地域は、やはり自動車台数と交通量の多い東京都や大阪府などの都会に集中すると言えるでしょう。東京都と大阪府以外では、愛知県や福岡県が交通事故の被害者数の多い地域と言われています。ただし、人口比率で考えると、特に都会の交通事故と被害者数が多いとは言えません。

福井県や富山県などは、人口比で交通事故の被害者数が多い地域です。自動車を使用する頻度の高い神奈川県や静岡県も、交通事故と被害者数の多い県として知られています。もっとも、過疎地域と言われる人口の少ない地域でも、決して人口に対して交通事故の被害者数が格段に少ないとは言えません。

交通手段の乏しい地方では、自動車が移動手段として欠かせないため、注意力の低下した高齢者も運転せざるを得ない状況があります。また、交通量が少ないため交通ルールを遵守しなくても事故が起きにくいという思い込みが強く、一時停止無視や赤信号無視が絶えないという報告もされています。

もっとも、交通事故の被害者数は毎年都道府県別に発表されるため、どの地域もワーストに挙げられないよう行政機関が努力しています。そのため、ワーストに入る都道府県は流動的であり、何年かワーストが続いてもやがて返上するというパターンも作られつつあります。

交通事故の被害者に占める高齢者の割合

高齢化が進むと、交通事故に巻き込まれる被害者の中に65才以上の高齢者が目立つようになりました。特に、認知症と呼ばれ判断力が低下した高齢者が、家人の目を離したスキに自宅から離脱し徘徊することが増えると、交通事故に遭う可能性も増大したと言えるでしょう。

認知症の高齢者が信号を無視したり自動車専用道路へ迷い込んだりする事件が後を絶ちません。一旦高齢者が交通事故に遭ってしまうと、怪我が重篤化しやすく死者数の増加に繋がると言われています。高齢者の死者数は2千人前後を推移しており、全年齢の死者全体の中で高齢者の占める割合は60パーセント近く他の年齢層に比べて高くなっています。

ただし、この数は近年劇的に増えたわけではありません。動きの緩慢な高齢者は、どんな時代でも交通事故に巻き込まれやすく被害者数も少なくないのです。

交通事故の被害者数を減らすには

高齢者の引き起こす重大事故が話題にのぼることが多いですが、高齢者だけが突出して多くの交通事故を起こしているわけではありません。相変わらず若者の交通事故も、高齢者に優るとも劣らない頻度で起きているのです。

運転免許の返納など高齢者の運転を規制する方向性を模索することも大切ですが、代わりの移動手段を確保することが求められるでしょう。高齢者の運転する自動車には、優先的に自動ブレーキを備えたものを提供するなど、ハイテクの活用もわすれてはいけません。

一方で、事故が多い若年層についても、同様の配慮が必要となるでしょう。また、ハイテクばかりに頼らず運転者のマナー改善を図ることも重要です。煽り運転などの危険運転については厳罰化を進め、一時的な感情で乱暴な運転をしないよう注意する風潮を作ることも課題となるでしょう。

自動車のオーナーは減る傾向にあったとしても、カーシェアリングなどの共有システム化が進んで車を持たない人でも気軽に自動車を運転できるようになれば、交通事故のリスクは依然として注目される社会問題となることは間違いありません。

そもそも、自動車と歩行者や自転車が同じ空間を行き来している状況が続く限り、圧倒的に弱い立場の歩行者に深刻な被害が生じるリスクを完全に取り除くことは不可能でしょう。自動車と歩行者の通路を完全に分離することが、最も効果的な被害者数減少の手段と言えます。

そこで、街作りや空間設計といった都市計画の視点から交通事故の防止を考えていくことも、これから必要になると言われています。